三鷹在住でよかったと思うのは、始発電車があること。朝ラッシュ時には2~3分に1本の始発電車があり、長くても10分並べば確実に座って通勤できる。
市境の最寄駅は武蔵境あるいは東小金井だが、三鷹を境に電車事情が全く異なるので、わざわざ自転車やバスで三鷹まで出る人が少なくない。
ただ、同じことを考える人は多く、朝方の緩行線ホームは電車を待つ人の列で埋め尽くされている。それを安全にさばくための工夫もいくつかあるのだが、一見さんには分かりにくいのでここで紹介する。
以下は中央緩行線1・2番線ホームの話であり、快速線ホーム(3~6番線)には当てはまらない。
また、座って通勤したい人のために、ここ10年ほどで蓄積したノウハウを伝授しようと思う。「三鷹市民1年生」の方は必見だ。
ラッシュ時間帯の「整列乗車」
ラッシュ時間帯、平日の6:30から9:30までの間は「整列乗車」が行われている。
これは特に珍しいものではなく、ドアごとの乗車位置で2列の行列を作り、電車が到着したらドアの前まで進むというもの。
総武線と東西線で並ぶ列が違うとか、先発と次発で列を分けているとかいうことはない。その点は分かりやすい。
移動距離が長い
ただ、三鷹駅の特徴として、行列を作る位置は電車のドアの位置と一致しておらず、むしろズレているところが多い。狭いホームを有効に使うためだろう。
特に、階段やエスカレーターでホームが狭くなっているところは、別の広いところに行列を作るので、ドアの前まで延々20m近く歩かされる場所がある。
写真のように、特に歩く距離が長いところでは乗車位置ごとに表示が色分けされている。色分けされた線に沿って歩いていけば迷わず所定のドア位置まで歩いていける…という設計だ。
しかし実際は、行列に慣れていない人がいたり、ホームの混雑が限度を超えたりすると、移動中に列が乱れてしまう。その結果、本来なら座れる順番なのに座れない、という不条理が起きる。
また、ホームが狭くなっているところから電車に乗り込む場合、列の長さが一定以上になると、隣のドアに並んだ最後尾の人がこちらのドアまで到達してしまう。これもまた混乱を惹き起こす。
3~6号車あたりはドアまでの移動距離が長いので、ダイヤ乱れなどで普段以上に混雑している時には避けるのが無難だ。
最混雑時間帯の「一旦ドア閉め」
上記の整列乗車に加えて、最も混雑する時間帯に行われるのが「一旦ドア閉め」だ。これを実施する電車は、平日の三鷹発7:19から8:24まで。
この時間帯も、電車が到着するまでは乗車位置で待ち、電車到着とともにドアの前まで移動する、という動きは同じだ。
違うのはここから。中野方面から来た電車が折り返す際、ホームで待つ人はすぐに乗り込んではいけない。乗ってきた人が全員降りたことを係員が確認すると、一旦ドアが閉まる。その直後にドアが開き、ここで初めて乗り込むというルールだ。
ドアを閉めてすぐに開けるのは無駄な行為のようにも思えるが、このドア開閉が「確認が終わったので乗っていいですよ」という乗客への合図になっている。
なお、中野方面からの折り返しではなく、車庫から空っぽの電車が出てくる場合には、ドアが開いてすぐ乗り込んでよい。7時台には何本かこういう電車があるので、注意して放送を聞いていないと面食らう。
すぐ中止になる
一旦ドア閉めは「全員降りたことの確認」に人手と時間がかかる。このため、電車が数分遅れただけですぐ中止になる。
また、夏休みなどの長期休暇中にも中止される。学生がいなくなる分、混雑が緩和されるからということなのだろう。
しかし、個人的には通年実施してほしいと思う。
一旦ドア閉めにより折り返し乗車が皆無になるほか、ドアごとの乗り込みタイミングにばらつきがなくなるので、まじめに並んでいる人の不公平感が小さい。「前から7人目までなら座れる」という「票読み」もしやすくなる。
ラッシュ時以外はどうすればいいのか
以前からずっとモヤモヤしているのが、平日朝ラッシュ以外の時間帯にどうすればいいのか、ということ。別に争って乗るほど混んではいないのだが、それでも、列の先頭に並んでいたつもりなのに別の人に先を越されるとムッとする。
ホーム床の表記を見る限り、「電車が到着したら、矢印に沿ってドアまで進む」というスタイルの整列乗車は平日の6:30~9:30に限定されたルールだ。
だとしたら、9時半を過ぎたらどうすればいいのか? おそらくは「乗りたいドアの付近で待っていてください」ということなのだろうが、ドアがどこに来るかというのは、電車到着前には分かりにくい(矢印の先端を見るしかない)。
中央線の他駅では、朝から晩まで、平日も休日も整列乗車を行っている。それが三鷹駅の緩行ホームでは、平日朝だけ整列乗車で、その他時間帯は「無秩序乗車」だ。苦情が多くないからこうなっているのだろうが、釈然としない。
来た電車に乗らない人がいる
朝ラッシュ時、1・2番線から出る電車には大きく分けて「総武線直通」「東西線直通」の2種類あるが、乗車位置は1つだ。東西線に乗りたい人は総武線が来ても乗らないし、逆もまたしかりである。
ということは、電車が来たのに、ドアに向かって歩き出さない人がいるということである。列の後ろのほうにいた人にとっては、人数が減ってラッキーなことではあるのだが、これも慣れないと面食らう。
また、特に7時台後半や8時台前半のピーク時には、いい席に座りたいがために、あえて来た電車に乗らないという人が結構いる。
通常、1つのドアから2列で乗り込むとき、前から5人目ぐらいまでは確実に座れるものだ。それなのに、前から3番目、4番目くらいに並んでいても来た電車に乗らず、ホームに残る人が珍しくない。
そんなわけで、前から8番目くらいに並んでいても、電車が到着してみたら前から6番目に繰り上がり、見事に座れる、ということがしばしばある。
空いているのはどのへん?
三鷹始発の電車で、最も空いているのは10号車(高尾寄り先頭車)だろう。ホーム上の障害物(階段など)も少ないので、混雑時にも行列が混乱することは稀だ。やむを得ず子連れで朝ラッシュ時に移動するといった場合には10号車をおすすめする。私はほとんど10号車に乗らないので、その後の混雑はよく知らないが、東中野あたりまでは安泰だと思われる。
10号車は階段やエスカレーターから遠く、三鷹駅だけを見れば不便だが、最後尾が便利な駅もあるので一概に不便とはいえない。
1号車(東京寄り先頭車)もそれなりに空いているが、それよりは9号車(高尾寄り2両目)のほうが空いている気はする。
階段の真下にあたる4号車も、死角になるため若干空いている気がする。ただ、このへんは乗車位置からドアまでの距離が長く、行列が乱れることが多い。また、三鷹発車後の混雑は相対的に激しい。
残りあとわずか、悩ましい5号車
そして総武線直通の場合、かつて穴場中の穴場だったのが5号車だ。
2019年春まで、総武線直通の5号車は基本的に「6扉車」で、朝ラッシュ時は座席を折りたたんでいた。つまり真っ先に乗り込んでも座れない。
しかし通常の4扉車が来ることもあり、この場合には穴場となる。行列は明らかに他の号車より短いし、7時台後半なのに乗り込んでみたら空席が残った、ということもあった。
現在、6扉車の座席は終日利用できるようになっている。
しかし5号車の乗車位置は4つしかなく、放送で「○時×分発は本日6扉です」と言われてもフォーメーションは変わらない。
そのため、6扉車が来たときの乗客の動きはぎこちない。
怖いので私は1回しか利用したことがないが、4つある5号車乗車位置のうち端の2つにおいて、2列並びが左右1列ずつに分かれ、それぞれ最寄りドアに向かっているように見えた。つまり新宿方から1番目の乗車位置は1・2番ドア、2番目乗車位置が3番ドア、3番目乗車位置が4番ドア、4番目乗車位置が5・6番ドアといった具合。
ただ、明文化されたルールは何もないので、停車位置の微妙なズレなどにより上記のようにならない可能性も十分ある。元々座席数が少ないこともあり、積極的には選びたくない乗車位置だ(だからこそ、4扉車が来れば穴場になるわけだが)。
マニアには言わずもがなだが、5号車が4扉となるのは209系(2019年9月現在、中央・総武緩行線にいない)とE231系500番代(山手線からの移籍車)。逆に6扉となるのはE231系0番代(元々中央・総武緩行線の車両)。東西線直通はすべて4扉だ。
――と書いていたら例外が現れた。E231系0番代で、6扉車を4扉車に置き換えた編成が登場したのだ。この種の編成はおそらく今後も増え、最終的には6扉車を駆逐するものと思われる。
5号車が4扉か6扉か、というのは当日まで分からない。以前、6扉が来る列車は、列車番号の末尾が「B」になっているということだったが、現在はよく分からない。
現在、6扉車は減少傾向にある。ホームドア整備を睨んでのことだろうが、山手線のE231系500番代が次々に移籍してきて、6扉車ありの0番代を追い出している。オリンピックまでには6扉車が皆無になるのだろうか?
列車の遅延傾向
「○○線はよく遅れる」などと話を聞くが、中央緩行線はどうだろうか。
私の印象では、三鷹発8時台前半までは毎日ほぼ定時運転だが、それ以降は急速に乱れてくる印象がある。三鷹発が8時半を過ぎる場合、遅刻の許されない用事では、所定時刻より10分程度余裕をもって利用するのが無難だ。
感覚的に、三鷹発で最も利用者が多いのは7時40分~8時10分ごろだと思われる。列車本数は7時台前半からすでにピークに達している。
しかしこの時間帯には、遅れが1分以内で、ほぼ定時運転であることが多い。
総武線から来る電車の場合、三鷹着8時だと新宿着が7時35分ごろ、秋葉原で7時15分ごろとなり、千葉県下ではまだ6時台だ。ピークとは言い難い。東西線から来る電車にしても、三鷹着が8時だとすれば大手町着は7時25分ごろだから、まだ余裕があると想像される。
これが、8時半を過ぎると途端におかしくなってくる。三鷹8時半だと秋葉原で7時45分、大手町で7時55分ごろだから、ラッシュのピークを潜り抜けた電車が這う這うの体で三鷹に到着するという感じになる。だから遅れるのだろう。東西線と総武線の順序が入れ替わるというのは日常茶飯事だ。
それでも三鷹8時42分発あたりまでは何とか走るのだが、8時50分発から先の電車は、かなりの確率で「三鷹発が遅れる」「中野駅の手前で長時間停車する」「中野駅で2番線からの電車を先に通す」「東中野駅で数分の時間調整を食らう」といったことを覚悟しなければならない。
この時間帯の電車は都心で遅れを作ってくる。三鷹折り返しの電車は、ガラガラの中野→三鷹間で多少遅れを取り戻すようだが、中野折り返しだとそれを取り戻す間もない。2番線が空くのを待つということもあるかもしれない。おそらくそれが原因で、三鷹始発より中野始発のほうが遅れがひどい。
その結果、中野まではいいが、先行列車(中野始発)が遅くて中野で待たされたり、逆に続行列車(中野始発)が遅れているので東中野で時間調整したり、という結果になる。
三鷹8時52分発の苦悩
個人的な要注意列車が三鷹8時52分発だ。
この列車は8時50分の総武線直通の後を2分差で追うというダイヤで、ラッシュピークを過ぎていることもあって混雑も平穏、時刻表を見る限りは乗り得の電車に思える。実際、空いてはいる。
しかし、8時50分ともなると折り返し電車が5分弱遅れてくることが多い。ここでまず待たされる。
無事に三鷹を出てからも安心できない。
この電車の後、三鷹始発の総武線直通はしばらく間隔が空く。この間に中野始発の電車が割り込んでくるのだが、前述のとおり、中野始発はさらに遅れがひどい。
このため、まず間違いなく、東中野で「後続の電車との運転間隔調整を行います」と言われてしまう。
三鷹8時52分発の電車は、所定では新宿着が9時14分ごろとなっており、たとえばバスタ新宿9時30分発のバスに乗るのは余裕のように思える。
しかし実態として5分遅れは当たり前なので、冷や汗をかくこともあると思う。
では1本前の8時50分に乗ればいいではないか、という話になるのだが、この電車はかなり混む。1本前の総武線が8時42分発だから実に8分も間隔が空いており、間際に乗ったのでは座れない。2分早く着けばよいという話ではないのだ。
そこまで考えると、前の列車との間隔が短く、三鷹発車時点でほぼ全員座れる8時42分発が代替としておすすめの列車となる。
この列車も、8時52分発と同様の理由で東中野での時間調整は必至だが、三鷹を10分早く出ているので余裕の表情でやり過ごせる。
なお、8時42分発に間に合わなかった場合、8時45分発の東西線直通で中野まで行き、中野9時00分発の総武線直通に乗り継ぐという奥の手もある。
1号車先頭に乗って中野では乗り換え専用階段(常に空いている)を利用するのがセオリーだが、どんなに手際がよくても、定時運転に近い場合、ギリギリ乗り継げないことが多い。
JR東日本アプリなどで路線全体の遅延を把握した上で、遅れが僅少なら8時50分発を待つとか、中野で乗り継げなかったら中央快速線に切り替えるとか、そのあたりは各自で研究していただきたい(←5分早起きしろ)。
その他
折り返し乗車
平日朝に一旦ドア閉めを実施する大きな理由は、「折り返し電車に乗ってきて、降りずにそのまま折り返す」という人がいて、乗客同士のトラブルの原因になるからだと思われる。
折り返し乗車分の切符を持たずにこういうことをするのは不正乗車なので論外だ。横浜高速鉄道では抜き打ちで「声掛け」を実施し、無札だと分かれば増運賃を徴収しているようだが、三鷹でも何かやってくれないかと思う。
では、かりに切符を持っていたとしたら折り返し乗車をしていいのか? 私は当然「ダメでしょ」と思っているのだが、これは意外にも意見の分かれるところであるらしく、「何が問題なんだ」と主張する人も時々見かける。
「先着順」というのが世の中一般では妥当とされているが、折り返し乗車の人は、先に電車に乗っているんだから「先着」じゃないか、と言われると反論が難しい。
「当駅始発」が来ない時間帯
最後に一つ、朝の早い人が注意すべきこととして、三鷹始発の新宿方面行きがなかなか来ない時間帯というのがある。以下、本節では特に断りのない限り東西線直通は除く。
まず、三鷹4時32分のあと、次の三鷹始発は5時46分までない。その後も三鷹始発は少なく、6時台は09分、38分、47分、52分の4本だけ。7時台に入っても04分の後が19分までなく、以後ようやく量産体制に入る。
6時台前半までは、三鷹始発でなくても何とか座れるような気はするのだが、運に左右されるので個人的には避けている。市境住民ならば東小金井から乗った方がだいぶ安心だ。
6時38分といえば、一般的にはまだまだ空いている時間帯なのだが、約30分ぶりの始発電車なので狙って乗る人が結構多く、並んでいた人で座席は一通り埋まる印象がある。便利な場所では座れない可能性もある。
その後は乗客自体が増えてくるので混雑はひどくなる。6時47分、52分はそこそこ安心して乗れるが、7時04分、19分は途端に厳しくなると予想される。実際乗ったことはないが、7時19分発など、相当前から並ばなければ座れないだろう。
こうした時間帯に座って通勤したいなら、乗り換えの手間を厭わず、東西線直通で中野まで行き、中野始発の総武線直通に乗るのがよい。
東西線直通は概して空いているし、中野始発の総武線直通も、三鷹始発ほどの激しい競争はない。