2019年4月1日に、市境地区をかすめるムーバス(境南西循環)のダイヤ改正が行われることになった。
改正の概要は、始発から最終まで、全便を3分繰り上げという内容。
武蔵境駅南口発が毎時05・25・45分から02・22・42分となる。
ただ、途中停留所については3分繰り上げでない場合がある。
気になって調べたところ、旧ダイヤに対する新ダイヤは以下のようになっていた。
- 0番(武蔵境駅南口)~4番(境南町四丁目) -3分
- 5番(境南ちびっこ農園) -2分
- 6番(稲荷前)~13番(井口三丁目) -3分
- 14番(武蔵野赤十字病院)~17番(中央商店街) -5分
- 0番(武蔵境駅南口)到着 -3分
日赤での時間調整を2分減らし、その分の余裕を最後の1区間(中央商店街→武蔵境駅南口)にシフトした恰好。
早着でもよいから、なるべく早く武蔵境駅南口に入れようということのようだ。
観察している限り、境南西循環と一部バス停を共有する「境南東循環」は定時運転率がかなり高い。
毎時00・20・40分、寸分違わず武蔵境駅を発車していく。
であるから、境南西循環の武蔵境駅着を所定00・20・40分(東循環の発車と同時刻)とし、さらに多少早着したとしても、バス停で競合することは少ないとふんだのだろう。
分単位での攻防を見て、境南西循環の過去に思いを馳せた。
境南西循環は、路線開設以来、市と小田急バスの間で綱引きがあり、かなり苦労して今に至っているのである。
以下で述べることは「武蔵野市地域公共交通活性化協議会」の議事録からの引用が多い。
毎回かなり興味深い内容なので、ムーバスに興味のある方は一読をおすすめする。
さて、境南西循環の最大の問題は、バス1台、20分間隔の循環系統でありながら、一周するのにダイヤ上18分(平常時の実績として17分)かかるということだ。
晴天の日でも、日赤での乗降に手間取るなどすれば数分の遅れは日常茶飯事。
遅れを取り戻せないまま数周している様子がバスロケから伝わってくる。
これが雨天となるとさらに大変だ。
普段は自転車に乗っている人が加わって混雑が増し、一周20分を超過する便が多くなる。
夕方には遅れが20分に達し「周回遅れ」ということもしばしば起きている。
慢性的な遅れに業を煮やし、運転間隔を22分にしていた時期があった。
あらためて調べてみたら、2012年8月19日のダイヤ改正で22分間隔になっていた。
正確には、常に22分間隔だと、20分間隔の境南東循環と競合が起きることがあるため、数時間に1回は27~28分間隔となっていた。
委員会の資料を読んだ限りでは、運行事業者である小田急バス側から「休憩時間を確保できないので何とかしてくれ」と申し入れがあり、それを受けての減便・22分間隔化だったようだ。
本数が若干減ったことさることながら、時刻表を記憶できないというのが何より不便で、私はこの時期、ムーバスから足が遠のいていた。
それは私だけではなかったようで、第13回の委員会資料によると、過去15年間で一日800人程度だった乗客数が一気に600人台前半まで落ち込んだとのこと(-150~170人)。
4便減ったことも理由の一つだが、それだけでは説明がつかないとして、武蔵野市サイドからは「早急に20分ヘッドへの復帰を」という声が出ている。
その後も乗客の減少は続き、委員会のたびに「異常事態である、何とかせねば」との議事が残っている。
労組からは、比較的余裕のある境南東循環と負荷を分担するため、武蔵野赤十字病院を起点として路線の抜本的な見直しができないかという提案もなされていた。
この提案が実現したようには見えないが、「日赤から武蔵境駅まで、遠回りの東循環に乗っても西循環に追い越されない」という現状のダイヤは、この提案の産物といえるのかもしれない。
結局、約3年後の2015年4月1日、境南西循環は元の20分間隔に戻った。
以前(22分間隔化の前)は武蔵境駅南口発が「10・30・50分」だったと記憶しているが、復活後は「05・25・45分」となり、これが2019年3月まで継続していたと思う。
現在の乗客数が昔の水準に戻ったかどうか、資料を持ち合わせていないのだが、2015年の時点で、乗客数の戻りは鈍かったという。ただ、減便の間に日赤の外来診療が原則予約制となり、患者数が減少したことも一因、との説がある。
長々と境南西循環の「苦悩の歴史」を述べたが、今回、分単位で発車時刻をずらしてきたのは、ダイヤの工夫で少しでも定時性を高めるためだと思われる。
私は月に1回程度しか利用しないが、定時性がどうなるか、時々ウォッチしていきたい。
なお、直接関係ないが、2019年3月、小田急バス所属のムーバスに新車が入ったようだ。
知人からの情報なので自分の目で確認していないが、これまでは最後部を除き「ロングシート」だったところ、前向きの「クロスシート」になったとのこと。
バスマニア的にはクロスシートのほうが好ましい気もするが、CoCoバスと同じ仕様だとすると個人的にはイマイチ。最後部以外、どこに座っても座席が低すぎて景色が見にくいし、座席数も立席スペースも確実に減る。
「最前部に座席あり」「中間部は1.5人がけクロスシート」のリエッセが懐かしい。
さらに関係ないが、市境付近を走るCoCoバス「東町循環」について、運行本数は変わらず、従来のダイヤを15分繰り下げるという。
これまで東小金井発が毎時00・30分だったところが15・45分となる。
ダイヤ改正の目的はCoCoバス同士の乗り継ぎ改善だそうで、需要がどれだけあるか分からないが、利便性を向上しようという心意気はいいと思う。